改善事例

目次

  1. 1. 小学校周辺におけるゾーン30プラス、スムーズ横断歩道
  2. 2. 踏切除却(バイパス整備)
  3. 3. 街並み整備とあわせたスピードハンプ、狭窄部の設置
  4. 4. 新興住宅街におけるゾーン30
  5. 5. 歩道設置、道路拡幅
  6. 6. 右折車線設置、道路拡幅(交差点改良)
  7. 7. ペイントによる視覚効果
  8. 用語解説:ゾーン30、ゾーン30プラスとは
  9. ハンプとは

小学校周辺におけるゾーン30プラス、スムーズ横断歩道

稲羽西小学校前に設置されたスムーズ横断歩道

稲羽西小学校前に設置されたスムーズ横断歩道

内容:小学校周辺区域内における最高速度を時速30キロに制限するとともに、小学校正門前に物理的デバイスとして横断歩道部分をハンプのように盛り上げ、高さをつけたスムーズ横断歩道を設置。

併せて大型貨物自動車の通行規制を実施。

全国で初めてのゾーン30プラス設置箇所。

場所:大佐野町

路線名:市道稲号線(旧:県道95号芋島鵜沼線)

供用開始:令和3年12月21日

関連:「ゾーン30プラス」整備計画(岐阜県各務原市 大佐野町地区)(PDF) - 国土交通省中部地方整備局

踏切除却(バイパス整備)

建設中の犬山東町線バイパス(第1工区)

建設中の犬山東町線バイパス(第1工区)

内容:県道春日井各務原線は国道21号線鵜沼東町交差点から愛知県犬山市を経て同県春日井市へと至る主要地方道であるが、JRと名鉄を横断する踏切が慢性的な渋滞箇所となっており、喫緊の課題となっている。

このため、踏切を除却し、交通の円滑化を推進するとともに、片側2車線化して国道と直結させることにより、犬山から鵜沼を経由して美濃加茂方面への移動を円滑なものにすることを目的とし、平成3年に同道の代替路線として犬山東町線バイパス総延長1360メートルが都市計画決定されている。26年の歳月を経て平成29年に市事業で犬山橋北詰から名鉄新鵜沼駅前までの第1工区が整備完了し、一部分が供用開始されている。にんじん通りまでの第2工区は平成29年より県事業として実施中である。さらに、国道21号線坂祝バイパス交差点までの第3工区も県事業により事業化予定である。

なお、犬山橋は2000年の架橋時において2車線での設計及び施工が完了している。

場所:鵜沼南町〜鵜沼東町

路線名:犬山東町バイパス

供用開始:令和9年(予定)

関連:交通課題対策事業 - 各務原市交通安全推進協会 交通部

街並み整備とあわせたスピードハンプ、狭窄部の設置

鵜沼宿に設置された景観に配慮したスピードハンプ

鵜沼宿に設置された景観に配慮したスピードハンプ

内容:本路線は旧鵜沼宿を横断するかつての中山道であり、旧国道21号線である。国道21号線の旧道ということもあり、抜け道として交通量が多かったが、平成16年からその歴史的景観を生かしたまちづくりが議論になった。

その中で、交通量の抑制、特に抜け道として利用されることゆえのスピード抑制が課題として挙げられたため、平成18年から平成22年まで施行した電線地中化工事の期間中である平成21年9月28日から10月4日までの間、道路幅を5メートルから4.3メートルに縮小する社会実験を行い、すれ違いが可能な箇所と狭窄部をそれぞれ2か所設けた。その結果、1日当たりの交通量が実験前は約8,200台であったのに対し、実験中は約7,400台と1割の削減とスピードの抑制が結果として表れた。

そのため、当初の2車線片側歩道から1車線両側歩道へと計画を変更し、平成22年に狭窄部(幅員4メートル)と共にオレンジ色の歩車分離標を設置してすれ違いの際に狭窄部の手前で一時停止する必要性を生じさせた他、歩道と車道の段差を5センチと高めに設定した。また、大型貨物自動車の進入を禁止し、最高速度を時速40キロから30キロに規制を変更した。その結果、交通量は計画当初の一日当たり12,000台から4,000台へと激減している。

平成22年に設置された狭窄部。歩車分離標のひとつが踏まれて損壊している(赤丸で囲った箇所)。

平成22年に設置された狭窄部。(平成27年撮影)

歩車分離標のひとつが踏まれて損壊している(赤丸内)。

しかし、そのそもすれ違う車両がなければスピードを落とさずに通過することが可能なうえ、中にはあろうことか歩車分離標を踏んで(狭窄部を乗り越えて)通行する車両が散見され、騒音が発生するようになったため、平成29年には狭窄部にポール式の歩車分離標を設置するとともに縁石を撤去して歩道と車道の段差を無くしたが、根本的なスピード抑制の施策が検討されていた。

そこで、地域住民のまちづくり会と市が協議を行い、令和4年2月に舗装の引き直しに合わせ、狭窄部の改良とともにスピードハンプを3か所設置し、根本的なスピードの抑制施策を実施。

特に、ハンプに高さをつけることにより、高速度で通過すると車両に衝撃が加わるため、施策前と比較して通過車両の速度が非常に低速になるなどの効果が出ている。

この路線を含む周辺地域は平成19年6月に重点風景地区に指定されていることもあり、ハンプの導入矢印のペイントを三つ鱗にし、歩車分離標は茶色にするなど、デザインは周辺環境に合わせたものに配慮し、景観との調和を図った。

なお、平成22年までのまちなみ整備により、第7回まち交大賞・まちづくり効果賞を受賞している。

場所:鵜沼西町

路線名:市道鵜987号線

供用開始:令和4年2月20日

関連:第7回まち交大賞 旧鵜沼宿・旧中山道地区(岐阜県各務原市)(PDF) - 一般財団法人都市みらい推進機構

新興住宅街におけるゾーン30

桜木町地内のゾーン30

桜木町地内のゾーン30

内容:かつての都築紡績鵜沼工場跡地を土地区画整理事業を実施して住宅地が整備され、桜木町県道207号線から旧名鉄-JR高山線連絡線を経て鵜沼南町7丁目犬山橋北詰まで抜ける2車線道路が整備されたが、渋滞箇所である県道春日井各務原線のJR踏切を回避し、犬山橋から加茂郡坂祝町方面への抜け道として利用されるようになり、交通の危険性が生じた。

そのため、鵜沼南町7丁目地内において、狭窄部を設置する社会実験を実施したが、地元の合意を得ることができず、部分的なガードレールと路肩への反射板の設置のみを行った。

しかし、次第に先述の通り抜け道として利用する車両が多くなったため、地域住民の間で安全対策の実施に向けた機運が高まり、平成26年に時速30キロメートルの速度規制と大型車通行禁止規制をかけるに至った。

また、道路の中央線を抹消し、2車線から1車線に狭幅し、路肩にガードレールやカラーポールを設置し、通行車両の速度抑制と歩行者の安全対策を図った。

さらに、平成30年に地元自治会で生活道路の安全対策検討会を開催し、検討した結果、令和2年にガードレールの設置を行うとともに、「ゾーン30」を設定した。

場所:桜木町

路線名:市道鵜303号線

供用開始:令和2年

歩道設置、道路拡幅

市道378号日野岩地大野線 JR濃川踏切

市道378号日野岩地大野線 JR濃川踏切

内容:大型商業施設の出店に伴い交通量が増加していた同路線を、都市計画道路として整備。道路幅を15.5メートルに拡幅し、従来は歩道がなかったが両側に歩道を設置。名鉄各務原線高田橋4号踏切、JR高山本線濃川踏切も幅を歩道なしの5.5メートルから両側歩道の15.5メートルに拡幅。

場所:那加西浦町

路線名:市道那378号日野岩地大野線

供用開始:令和元年

右折車線設置、道路拡幅(交差点改良)

国道21号線各務原町1交差点

国道21号線各務原町1交差点

内容:これまで右折車線が設置されていなかったことにより、片側2車線のうち1車線が右折待ちの車両で詰まり、追突や渋滞の原因になり、さらに交通事故が多発していた交差点を拡幅し、右折車線を設置。

場所:鵜沼各務原町

路線名:国道21号線 各務原町1交差点

供用開始:平成30年2月28日

関連:国道21号各務原町1交差点の交差点改良が完成 (PDF) - 国土交通省中部地方整備局 岐阜国道事務所

ペイントによる視覚効果

狭窄部を再現した道路ペイント

狭窄部を再現した道路ペイント

内容:既存集宅が連続する区域内にあって道路故拡幅が困難なうえ、交通量の多い幹線道路であり、狭窄部・ハンプの設置ともに困難であるため、ペイントによる狭窄部を設置し、視覚的な効果を実現した。

場所:鵜沼南町

路線名:市道鵜932号線(にんじん通り)

供用開始:平成29年

用語解説

ゾーン30、ゾーン30プラスとは

市街地におけるゾーン30の入り口(那加門前町)

市街地におけるゾーン30の入り口(那加門前町)

生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全施策。

幹線道路に囲われた区域(ゾーン)内のすべての道路における最高速度を時速30キロに規制し、区域内における速度の抑制や抜け道として通行する車両の区域内からの排除を目的とする。

ゾーン30プラスは、それに加えハンプや狭窄部などの物理的デバイスを合わせて整備したもの。

時速30キロ規制である理由は、歩行者と自動車が衝突した場合、時速30キロを超えると歩行者の致死率が格段に上がるためである。

市内では、このページに掲載した以外に那加門前町、北栄町などにわたる区域で整備されている。

ハンプ(Hump)とは

自動車の速度抑制のため、道路上に設けられた台形状の突起。物理的に道路の路面を盛り上げ、通行する自動車の速度徐行を物理的に促す設備。

簡易設置型バンプ

総合運動公園内道路に設置されたバンプ

右の写真はバンプ(Bump)であり、ハンプ(Hump)とは区別される。バンプは、段差を上る、下がることによる衝撃感を運転者に与える物理的デバイスであり、振動や騒音も生じるが、ハンプはそれと異なり、衝撃感ではなく、不快感(ふわっと体が持ち上がる感覚)を感じさせ、減速を促す物理的デバイスであることに違いがある。

ただ単に突起として設置すればそれは段差であり、通過時に車輪が乗り上げる動作が前輪と後輪の2回繰り返されることになり、騒音や車両に対する衝撃は相応のものになるが、この点、国土交通省は、ハンプの丘状の部分のうち、平たんな部分を長さ2メートル以上、最大勾配8%、高低差は10センチ、つまり、車両の前輪と後輪の間に収まる形状でなければ、騒音や振動も少ないとしている。

事例:大垣市では、国土交通省中部地方整備局から可搬型ハンプの貸し出しを受けて設置する社会実験を実施。設置前は通過車両の平均速度が時速39キロであったが、設置後は時速が22キロになり、約17キロの低減効果があったことに加え、騒音が若干低減したという結果が出ている。ハンプが設置された場所では、車両の速度を致死率が急激に低下する衝突速度である時速30キロ以下まで下げる効果があるといえる。

しかしながら、なかにはハンプをジャンプ台に見立てて高速度で通過する者がいるとの報告があるため、狭窄と合わせて設置することが最善であるといえる。

参考:「ゾーン30プラス」を支える技術 〜ハンプ等の物理的デバイス普及に向けて〜 - 国土交通省 国土技術政策総合研究所 道路交通研究部 道路交通安全研究室